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スイスに本拠地をおくIBO(国際バカロレア機構)が開発した国際的な教育プログラムのことを指します。PYP(Primary Years Programme)は、その中の初等(幼稚園・小学校)教育プログラムのこと。世界中のインターナショナルスクールを中心に導入されており、DIA初等部では開校時よりこのプログラムを取り入れてきました。現在は、国際バカロレア機構よりIB校に認定された日本では数少ない文部科学省が定める一条校として、新しい時代の教育を展開しています。
UOIはPYPの中でも中心となる教科で、子どもたちが感じた疑問を自ら“探究する”授業です。1年間に6つの教科横断的なテーマ(教科の枠を超える普遍的テーマ)に沿って探究し、友だちと意見を交わし合いながら学習を進めていきます。
本校では知識を教え込むのではなく、子どもたちが主体的に探究することを大切にしています。学ぶプロセスを知り、自らの考えを形にする創造力や表現力を身につけます。
実社会で問題に直面した時、1つの教科に捉われない多角的なアプローチが必要です。DIA初等部では、複数の教科の視点を持ち、正解のない課題に対応できる応用力を養います。
これまでの単元で学んだことを活用し、課題に取り組みます。紙芝居や人形劇、物語の創作、プレゼンテーションなど、表現方法は人それぞれです。子どもたちの成果を見て、総括的な学びを評価します。
DIA初等部では、SPT Conference(三者面談:Student, Parent, Teacher)を行っています。1年間を通じて学んだことを子どもたちが発表する場です。教員と保護者は子どもたちの発表を受け、新しい目標を定めて更なる成長を後押しします。
与えられたテーマに対して、複数の教科の視点で捉え、考察していくのが探究の単元の醍醐味。子どもたちが主体的に探究し、理解した知識を実生活に活かすことは重要なことです。DIA初等部では、多面的な視点を持ち、自らの考えを形にする創造力や表現力といった次世代に必要とされるスキルを身につける教育プログラムを展開しています。
全教室にプロジェクターを設置し、各種デバイスの映像をワイヤレスで投影することが可能な環境を整えています。また、2014年度より児童用iPadを導入し、100台が情報収集やプレゼンテーション、英語学習といった様々な場面で有効活用されています。さらに2年生以上の児童は、一人一台iPadを購入します。自分専用の端末を持つことで授業内での活用の幅を拡大しています。DIA初等部ではこういったデジタル環境を日常に取り入れることで、IoT(Internet of Things)からIoE(Internet of Everything)へ急速に進化するこれからの社会をリードする人材を育成します。
児童が主体となる探究の成果の発表会
6年生の最終の大きな目標の一つにエキシビションと呼ばれる日英両言語で発表する機会を設けています。これまでに取り組んできたPYPの探究型学習で学んだ内容を、子どもたちが発表する場。DIA初等部の子どもたちが「Learning Community/学びの共同体」の中で日英両言語を使って多くの事柄を発表する、最終ステージです。
The culmination of six years of
inquiry and student agency
One of our important goals at DIAES is for our sixth grade students to present a bilingual exhibition which represents their learning in the PYP.
The exhibition is an opportunity for students to synthesize the essential elements of the PYP and share them in English and Japanese to the school’s Learning Community.
「人々の情熱や才能は、しばしば社会に貢献するための原動力になる。」
トピックを決定
問いを作成し、
情報収集・整理
AIロボットやシトラスリボン、心理学といったトピックを決定。トピックに対してKey Conceptを用いて問いを作成し、情報収集を行います。
必要な情報をさらに集め、
発表方法を検討
課題解決にあたって、
自分ができることを模索し、
得意分野を活かし活動
収集した情報を基に、「Lines of Inquiry (探究の流れ・ポイント)」を作成。自身の考えを整理したうえで、発表方法を検討していきます。
発表方法の検討、
掲示物の作成、
発表練習
発表方法を決定した後に、掲示物の作成に取り掛かります。プレゼンテーションの練習も行い、フィードバックをもらうことで改善していきます。
発表
進捗や発表後の振り返り
これまでやってきた成果をぶつけます。身近な人々や在校生、保護者、教育関係者、一般の方に向けて、発表を行い自分の思いを発信します。
2021年度は、本校初のZoomによるエキシビションを行っています。
REFLECTIONは、どのPHASEでも行います。
学年はパンフレット掲載当時のものです。
探究トピックス
5年生
澤嶋興志郎さん
印象に残っているのは、4年生のフードバンク活動です。その中で一番心掛けたことは、ポスター掲示や放送での呼びかけなど、思いついたら先生や友人に相談し、同意を得たらすぐに行動に移すことです。その結果、実行力が身についたと感じています。寄付を受けた方から手紙を頂いた時は、感慨深いものがありました。また、グループ単位のプレゼンテーションでは、健康管理をするAIロボットについて発表。情報量が多すぎて発表時間が長くなってしまった反省点はあるものの、準備やチームワークの大切さを学ぶ良い機会となりました。
探究トピックス
6年生
上原万采采さん
エキシビションでは、コロナ禍における差別や偏見をなくす目的で立ち上げられたシトラスリボンプロジェクトについて探究しました。自作のシトラスリボンを地域や校内で配布したり、理解を深めるための発表ディスプレイの作成にこだわりました。また、自分の夢とSDGsのつながりを見つけて本の出版に取り組んだ時のことは、今でも忘れられません。文章化する難しさはありましたが、行動を起こし、持続的な活動を行う大切さをより学ぶ機会になりました。チャンスがあれば、これからも積極的に支援活動に参加したいと思います。
探究トピックス
6年生
安孫子宙稀さん
SDGsをテーマに、各国の課題について学んだ時のことが心に残っています。スケールが大きいため多くの知識が必要でしたが、発表を通して個々の調べた内容を共有することにより補完し合うことができました。エキシビションのテーマは心理学です。人の心への理解を深める学問について探究しました。UOIでは、調べたことや自分の思いをアウトプットする力とコミュニケーション能力を鍛えることができたと感じています。将来はこの2つの力を最大の強みとし、社会貢献だけではなく、日常生活にも活かしていきたいです。